第17章 育まれる関係
「食事とかどうしてるんですか?」
あまり食べてるイメージないけど....
「殆ど外で済ます」
「そうなんだ.........あっ!」
そう言えば、私昨日、一緒に食べようと思って夕飯詰めて持って来たけど....
「ちょっと玄関に行ってきます」
あのまま置きっぱなしだと腐ってるかも...
慌てる私の腕を彼がやんわりと掴んだ。
「セナ、貴様が持ってきた弁当の事なら冷蔵庫にある。心配するな」
「あ、本当ですか?ありがとうございます」
さすが、できる男は違う。
でも、何も考えずに作って持ってきちゃったけど.......
外食で舌の肥えた彼にあのタッパーの中身を見せるのは勇気がいるな......もう、何もなかったふりをして持って帰ろうかな.....でも、もう少し一緒にいたいし...
「どうした?一人百面相の様に表情を変えて」
挙動不審な私を見て、彼は頬を緩ませる。
「あ、あの、昨日夕食を一緒に食べようと思って作ってきたんですけど、でももう朝だし....食べないですよね?」
もったいないし、私は朝食として食べるけど、一応、聞いてみた。
「は?夕食?」
驚いた彼の声。
「え、はい。昨日、信長が戻ってきたら一緒に食べとようと思って... 」
ダメだった?
「それは、貴様は昨日は夕食は食べていないという事だな?」
「えっと...食べて.....ないです」
待ってる間ドキドキしてそれどころじゃなかったし...
「阿呆が、早く言え!直ぐ飯にするぞ」
何故か信長は大きなため息をついて、私の手を取りダイニングルームへと移動した。
「とりあえず、貴様の作ってきた物を出せ」
「え?あ、はい.........あの、レンジ、借りてもいい?」
「好きに使え」
渋い顔の彼の視線を感じながら、キッチンにある大きな冷蔵庫を開けた。
こんなに大きな冷蔵庫なのに、お酒やミネラルウォーターなどの飲み物以外、何も入ってなくて、直ぐに私のタッパーを見つける事ができた。