第17章 育まれる関係
「信長ちゃん、もう11時過ぎてる。セナを待たせてるんでしょ?」
敬太郎に言われ時計を見ると、確かに11時を過ぎていた。
ここまで遅くなると、さすがに待ってないか?
いや、奴の事だから律儀に待ってそうだな。
「これだけやったら戻る」
女を待たせているからと言って仕事を早く切り上げた事など今まで無かったが、出張に出ていてもう何日もセナを抱けていないのと、昼間にセナに触れた時の感触が生々しく蘇って来て、己の我慢も限界となり、手に着けた仕事を急いで終わらせて部屋に戻った。
「セナ、遅くなった」
ガチャっと、ドアを開けると、
「っ、............」
玄関で、セナが膝を抱え丸くなって寝ている。
その横には奴の荷物と...弁当箱?
リビングには入っていないのか?真っ暗で、電気はついていない。
「おい、セナ起きろ、風邪をひくぞ」
揺すってみるが、起きる気配はなさそうだ。
「ふっ、今夜は抱き損ねた様だな」
自分の膨らんだ熱に苦笑しながら、部屋に連れて行こうとセナを抱き抱えた。
「っ、.....」
軽い.........また痩せたか?
初めて会った時からセナは痩せ型だったが、ここ一月でかなり痩せた。
今日の昼も、その前も、いつもセナを抱き上げてきたが、抱きたい欲に駆られていたから気付かなかった。
ひと回り細くなった手足を見れば一目瞭然で、今まで、自分がどれほどセナを追い詰めていたのかが見て取れた。
「愛してる」
あどけない寝顔に口づけを落とす。
どんな気持ちで俺を今まで受け止めてきたのか...
今夜もまた、不安な気持ちでこんな所で待たせたのかと思うと、胸が軋んだ。
強く抱きしめたら折れそうなセナを寝室へと運び、その夜は奴をただ抱きしめて眠った。