第2章 XOXO
「ねぇセナ、今度君の部屋に遊びに行っても良い?俺、セナともっと仲良くなりたいなぁ」
私の手を握りながら、アイドルスマイルが炸裂した。
「あ、はい。引越しの荷物が片付いたら是非」
「わぁい、じゃ約束だよ。」
指切りゲンマンをされ、またねーと部屋へ戻って行った。
何だかとても人懐っこくて、顔と同様に可愛い人だったけど、彼のファンにこれを見られたら殺されるかもしれないとも思った。
「次は、家康ね」
ケイティがインターホンを鳴らすと、これまた俳優として有名な徳川家康が出てきた。
「....................何?」
テレビで見るより猫っ毛の彼は、目を合わせず機嫌が悪そうに言った。
「新人が来るから紹介するって言っておいたでしょ!」
「あぁ、信長様が連れてきた子ね。この子が?」
チラッと彼は私を見て、
「ダッサ、あんたそれで本当にモデル?ほんと、あの人の考えてることは分かんないな」
グサッ!と辛辣な言葉を投げつけて来た。
「こらっ、家康あんたいつも言ってるでしょ、言葉を選びなさいって!セナも気にしちゃダメよ」
ケイティが慌てて取り繕ってくれたけど、自分を改めて見ると、確かにスキニーラインパンツにパーカーとラフな格好に、髪も一つに簡単にまとめ上げてるだけのお世辞でもおしゃれとは言えないスタイル。
「あの、ご指摘ありがとうございます。春海セナです。これから宜しくお願いします」
「......へぇ、根性はあるみたいだね。まぁこの世界で潰されないようにせいぜい頑張れば」
差し出した菓子折りはしっかりと受け取って、彼はドアを閉めた。
「気にしなくていいわよ。彼は誰に対してもああだから。けど子役の時からこの世界にいて芸歴は長いから何でも聞くと良いわ」
「はい。あ、そう言えば、今の家康さんもさっきの玲衣も社長の事信長様って呼んでましたけど、どうしてですか?」
確かに社長で偉い人だけど、この時代に様づけって..
「あぁ、この会社だけでなく、業界の中でも結構信長様って呼ばれてるわよ。ほら彼オレ様だから。.....えっと、最後は三成ね」
オレ様だから信長様と呼ばれている。
全然納得のいかない理由をサラッと言って、ケイティは次の部屋のインターホンを押した。