第16章 クランクアップ
そして打ち上げ会場に移動し、映画の制作に携わった全ての人たちとの宴会が始まった。
信長は結局折れてくれ、私の後を渋々ついて、打ち上げ会場に一緒に来てくれた。(1時間と言う条件で)
私には、全てが新しい事づくめで新鮮で、夢中で共演者や監督さんたちと話している時に、裏で、信長と義元さんが火花を散らしてたなんて、全然気付かなかった。
元々人との交流を嫌う二人が廊下で鉢合わせする事は容易に想像できたのに.......
宴会があまり好きでは無い義元さんが廊下に出た時に、信長から義元さんに近づいた。
「セナが世話になったな」
「........別に、あの子がまた泣くようなことがあれば、次は遠慮しない。いつでもさらって行くよ。俺は気が長いからね」
「ふっ、そんな日は一生来ない。待つだけ無駄だ。セナは俺のものだ、諦めるんだな」
二人がそんな会話をした事を私は全く知らずで........
打ち上げ開始から一時間が経ち、オレンジジュースなのに酔っぱらった様に帰りたくないと駄々をこねる私を信長は抱き抱える様に連れて車に乗せ、私達は会場を後にした。
・・・・・・・・・・
車に乗せられ、打ち上げの興奮が醒めてきた私は、だんだんと冷や汗が出始めていた。
チラッと隣を見ると、無言でハンドルを握る信長の姿.....
夜であまりよく見えないけど、とても機嫌が悪そう........
聞かない方がいいとは分かっているけど、思った事を聞かずにいられないのが私で.......
「あの.....、怒ってる?」
彼の袖を少し引っ張ると.....
キィーと、急ブレーキを踏んで、突然車を路肩に停めた。
「な、何?....んっ!」
急に噛みつく様なキスをされた。
「待っ、んっ、......ここ外.......んんっ!」
いくら車の窓にスモークフィルムが貼ってあるとはいえ、フロントガラスからは丸見えなわけで....
また写真に撮られちゃう!