第16章 クランクアップ
「ケイティ、お待たせしました」
火照る顔と高鳴る胸に手を当てながら、先に歩いていたケイティに追いついた。
「別に待ってないわ。あのまま一緒にいたら、アナタ達にあてられそうだったから、先に歩いてただけよ」
パチンっと、ケイティは悪戯なウインクを私にする。
「それにしても、社長の心を動かすなんて大したもんだわ。暫くはマスコミも騒ぎ立てるでしょうし、売名行為とか嫌な事も言われるかもしれないけど、辛抱よ」
ケイティの言葉に、ゴクリと喉が鳴り、コクンと深く頷いた。
「さぁ、先ずはこの現場からね。きっちりと誠意を見せて謝りましょう」
気合いを入れてスタジオのドアを開け、私の映画制作の撮影現場へと向かった。
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「ご迷惑をお掛けして、すみませんでした!」
スタジオへ入ると、監督やスタッフさん達が撮影の準備に取り掛かっていて、私は大きな声で、みんなに頭を下げた。
少しの沈黙があり、それを監督が破った。
「バカやろう!そんなもんじゃ全然足りねえ、貴様の誠意ってのはそんなもんか!」
「はい!すみませんでした」
どれだけ言われても、悪いのは私だ。とにかく謝るしかない。
「そんなに謝罪したいってんなら選ばせてやるよ。この場で頭丸めるか、ノーギャラか、NGゼロでこの先の撮影を進めるか、どれがいい?」
「えっ?」
頭......は、丸められないよね?モデルの撮影もあるし.....でも、ウィッグ被ればいけるのかなぁ?
ノーギャラは、仕方ないか。収入ゼロは痛いけど、モデルの方の微々たる収入で今までも何とか凌いで来たし。
NGゼロは全然自信がないけど、それだけ時間を無駄にしたからこれも頑張るしかないのかも......
「早く答えろ!どれにするんだ!」
「ぜ、全部でお願いします!」
どれかなんて選べない。頭を丸めるのが一番嫌だしやりたくないし、やった事もないけど、全部の条件を飲んで誠意を見せたくて、全部と言ってしまった。