第15章 キス禁止
「ん....................」
次に目覚めると彼はもう横にはいなくて、慌ててベッドから飛び出て隣の部屋へ行くと、シャワーを浴びたのか、髪をわしゃわしゃタオルで拭きながら、パソコンと向き合っていた。
「お、おはようございます」
初めて朝を一緒に迎えて、緊張しながら彼に挨拶をした。
「セナ、起きたか」
彼は私を見ると顔を緩ませ、席を立ち、私を抱き寄せた。
(わぁ.......)
朝から心臓が止まりそうなほど胸が高鳴った。
どうしていいのか分からないから、とりあえず私も彼を抱きしめ返して、彼の胸に顔を埋めた。
「セナ、そうじゃない!」
甘さ一転、真剣な声で彼が私にくぎをさす。
「....?」
訳が分からず彼を見上げると、少しムッとした顔。
「おはようの挨拶は、言葉ではなく態度で示せ」
顎を掬い上げる様に持たれ、言われた。
「えっ.......と、言ってる意味が分かりません」
挨拶を態度で示すって、どう言う事?
「教えてやる。こー言う意味だ」
理解できない私に、彼は言葉ではなく身体で示した。
「えっ、んっ!」
焦れた唇が重なると、早朝から濃厚なキスが落とされる。
「まっ、.........んぅ」
昨日今日で分かった事じゃないけど、彼は結構なキス魔だと思う。
私に特別な感情はないと言っていた時から、会うたびキスをされてきたし、昨日の観覧車は、ほぼキスをしていたと言っても過言ではない。カフェのテラス席でもされたし.....
「はっ、...............んっ..」
容赦なく舌が割り込んで呼吸を奪って行く。
キスは、.....嫌じゃない。むしろ好き。
でも、.....
「の、信長?....くるしっ......」
彼のキスは、いつも全てを奪い尽くす様なキスで....
朝から力を奪われるのはさすがに.......
息苦しさと、力が抜けそうで....ドンドンと彼の胸を叩くと、ちゅっと唇が離れ、銀糸が名残惜しそうに伸びた。