第14章 初デート
「っ、.....セナ?」
彼が戸惑っているのが背中越しに分かった。
「私.........」
どうしよう、ここからなんて言えばいいの?
言葉に迷っていると、社長は巻きつけた私の腕をやんわり解いて私を見た。
「セナ、無理はするな」
「っ、無理なんて.....」
(お願い、身体も震えないで)
「私は、....社長と一緒に....寝たい」
大胆な事を言った自覚はあるけど、もう逃げたくなくて、解かれた腕を再び彼の身体に巻きつけた。
「.............貴様が寝た後で、俺も一緒に横になる。だから貴様は先に....」
「一緒じゃなきゃ.....やだ」
(怖いけど....でも、あなたに触れていたい)
「..........分かった、それなら貴様が眠るまで側に....」
「っ、...そー言う意味じゃないって、...........分かってるくせに.....!」
感情が上手くコントロールできなくて、駄々をこねるみたいな私を、困惑した腕が躊躇いがちに抱きしめた。
「セナ....余り俺を煽るな。俺は貴様の事になると歯止めが効かなくなる。もう貴様を、傷つけたくない...」
そう言って、私を見つめる切ない目....
これが.....彼の本心。
今日一日で、彼は沢山の優しさと愛情を私に示してくれた。
だから...........
「私を.....社長の......本当の彼女に.....して欲しい」
大好きだから、心だけじゃなく、今度こそ身体も繋がり合いたい。
彼の事が大好きだと言う気持ちを込めて、巻きつけた腕に力を込めた。
少しの間があり、ふぅ、と社長のため息が聞こえると、体がふわりと宙に浮いた。
「わ、わっ....社長!?..んっ!」
身体は宙に浮いた訳じゃなく、お姫様抱っこをされていて、驚く間も無く彼の唇が優しく重なった。