第14章 初デート
「セナ?どうした、眠れんのか?」
何事もなかった様な顔をして、彼は起きてきた私の頬に手を当てた。
「今、ケイティと話してた事って....」
「聞いてたのか?」
「っ、ごめんなさい。盗み聞きみたいなことして」
「いや、構わん。いずれ分かる事だ。今日の俺たちの写真を、明後日発売の週刊誌に掲載すると会社に連絡をして来たそうだ」
やっぱり、........写真撮られてたんだ。
「もうネットでも何枚かの写真がアップされている」
「っ、...ごめんなさい。私があんなテラス席に座ったりしたから」
この間の義元さんとの写真に続き、また迷惑をかけてる。
私は本当に警戒心が足りない。
「俺がしたくてした事だ。貴様が謝る事じゃない。それに、貴様との関係を公表するにはいい機会だしな」
彼は私を見て、ニヤリと口角を上げた。
「それって......」
「貴様が俺の女だとマスコミ各社にメールを送らせた。文句はないな?」
大変な事になってるハズなのに、彼は私を腕の中に閉じ込めて、楽しそうに顔を覗き込んできた。
「本当に、私でいいんですか?」
こんなに素敵な人が、私と付き合ってると世間に公表して、彼のイメージダウンにならないだろうか?
「俺は、貴様しかいらん。それにもう、他の男に貴様を取られそうになるのは敵わんからな。色々な意味で、貴様は俺のものだと、世間に知らしめる」
ぎゅっと、社長はその腕に力を込めた。
彼の思いが伝わってきて、心がじわじわと温かくなっていくのが分かる。
今なら私........
そう思った時、彼が私を離して優しく言った。
「貴様が心配する事は何もない。後は俺に任せてもう寝ろ」
「え、あの、.....私...」
「いい子だ」
ぽんぽんと頭を撫でると、彼は私に背を向けて椅子に座ろうとした。
「ま、待ってください!」
自分の決心が鈍らない様に、私は彼の背中に思いっきり抱きついた。