第14章 初デート
彼と食べる二回目の食事。
さっきほど緊張はしなくて、陸上をしていた頃の話をしながら美味しく食べる事ができた。
そして.........
「もう遅い。今日はゆっくり休め」
ご飯を食べてしばらくすると、私の頭を撫でてちゅっと、おでこにおやすみのキスをしてくれた。
「あの、...社長は?」
「俺はまだやる事がある。貴様は先に寝ていい」
「でも........」
「俺の事は気にするな」
ぽんぽんっと、頭を優しく撫でられるともうなにも言えなくて...
「じゃあ、お先に......おやすみなさい」
社長はまたPCの置いてあるテーブルへと向かい、私はベッドルームへと向かった。
大きなベッドルームには、大きなベッドが二つ並んでいて、その片方に入って目を閉じた。
隣の部屋からは、カチャカチャとキーボードを叩く音が聞こえて来る。
社長は忙しい。
そんな事、分かっていたのに。
今日一日、私を探してデートをしてくれ、こんな素敵なお部屋と、食べ切れないほどの料理を頼んでくれて.......
『貴様は俺の、この織田信長の女として堂々としていればいい』
あの言葉、本当に嬉しかった。
俺の女だと、はっきり言ってくれた。
それなのに私は.......逃げてばかりで.........
でも........抱かれる事が怖い。
どうすればいいのか分からず布団の中でうずくまっていると、彼の話し声が聞こえて来た。
(誰かと...話してる?)
不思議に思い、ベッドから出て隣の部屋をのぞいてみると、スマホで誰かと話してるみたいだった。
「.......敬太郎か、俺だ。ああ見つかった。一緒だ。明日には戻る。....ああ、俺が直接連れて行く。心配するな」
どうやら電話の相手はケイティ。私が急にいなくなったから、きっと心配をかけたんだ。
「写真?.....ふっ、相変わらず仕事の早い奴らだ。.....分かった。そのまま掲載させろ、あと、すぐにマスコミ各社にメールを流せ」
(何............?)
「織田信長は、弊社所属タレントの春海セナと真剣交際している。とな」
(!?)
待って、今のって.......
「社長?」
いてもたってもいられず、ベッドルームから出て社長の元へと駆け寄った。