第14章 初デート
服を脱いで鏡を見ると、今まで付けられた新旧無数の痕が身体中に広がっていた。
正直、これを見るのはまだ辛い。
何の変化で社長が突然私を思ってくれていると言ったのかは分からないし、今日一日、彼は本当に優しくて甘くて、夢の様だったけど....
彼に初めて抱かれた日からまだ一週間程しか経っていないけど、毎夜、毎夜、彼の手で強引にイカされ、心と身体がバラバラになりそうな抱かれ方をされて来たから..........怖い......
そして、社長は気づいてる。
私が、抱かれる事に抵抗がある事を......
ハズタブのお湯が張り終わり、バラのバスボムを入れると、ふわふわとバラのペダルが一枚ずつお湯に広がっていった。
「........きれい」
身体をお湯に沈め一枚手に取ると、すーっと、お湯に溶けていった。
この花びらの様に、私の恐怖心も溶けて無くなればいいのに...
好きな人に抱かれるのに、怖いと思う私は、彼を思う気持ちが足りないんだろうか。
こんなに素敵な部屋に連れて来てくれたのに、今夜は何もしないと言う彼の言葉にほっとした自分自身をどうして良いのか分からないまま、シャワーを浴びて、髪を乾かし、持って来たルームウェアを着てバスルームを出た。
「あの、お先にありがとうございました」
部屋へ戻ると社長はテーブルの上にPCを置いて、仕事をしているみたいだった。
「セナ」
椅子から立ち上がり、私の元へ来ると、優しく抱きしめてくれる。
本当に、優しい。
胸がキュンとして、そのまま彼の胸に顔を埋めて彼の背中に手を回した。
くんっと、彼の匂いを吸い込むと、彼の匂いと共に、食べ物の匂いが.......
何の匂いか気になって、彼の胸から少し顔を離してクンクンと鼻を効かせていると、
「ふっ、鼻が効くな」
彼は腕の力を緩めて、もう一つある大きなテーブルの方を見た。
「あ.......」
そこには、ピザやパスタ、サラダやローストビーフ、フルーツの盛り合わせなど、様々な種類の食べ物が用意されていた。
「さっきも、余り食べてなかったからな。適当にルームサービスを頼んだ。好きなだけ食え」
「あ、ありがとうございます、社長は?」
「俺も少し食べる。座れ」
椅子を引いてくれ、そこに座った。