第2章 XOXO
「わぁ!見てみてケイティ、凄い景色」
周りも高いビルが沢山建ってるけど、目の前は結構開けていて遠くまで見渡せる。
「夜景もきれいよ。気に入った?」
「はい、とても。.........わぁ、クローゼットも......こー言うのなんて言うんでしたっけ?」
中に歩き入れるタイプの大きなクローゼット.....
「ウォークインクローゼットよ。モデルは衣装がかさばるからね。収納スペースは広く作ってあるの」
「そうなんだぁ、でも今はたったこれだけだけど。ふふっ」
実家から送った荷物は、段ボール10箱にも満たない。
「そうよねえ。あんた本当にJKだったの?よくこれっぽっちの私物で今まで生活できてたわねぇ」
あまりの荷物の少なさに、ケイティも呆れたように言った。
確かに、世の中の人が思い描くキラキラしたJKライフとはかけ離れて生きてきた私......
「ずっと走ってたから、ジャージとスニーカーだけは沢山あるけどね」
「まぁ、これから嫌でも増えていくから良しとしましょ。あっ、あと部屋は防音壁だから、発声練習や楽器演奏、ヴォイトレをしても全然大丈夫よ」
「へぇ、何から何まで凄いですね」
「でしょ?彼氏を連れ込んでエッチしても大丈夫だから安心していいわよ」
ケイティは私にパチンッとウィンクをした。
「なっ、そっ、そんな人いませんよ。それにここは自宅と言っても会社ですよ!」
「あら、ここは芸能人でもパパラッチを気にする事なく気軽に過ごせる様に、社長が特に力を入れて作った寮なんだからいいのよ。あなたも沢山恋をして、女を磨くべきよ。頑張りなさい」
ばちんっと、背中を叩かれ気合いを入れられた。
こー言う時の力は、やっぱり男の人なんだな。かなり痛かった。
「が、頑張ります」
本当に今まで陸上ばかりで、恋愛経験ゼロの私が恋愛をする日は来るんだろうか。全然実感湧かないけど、彼氏は欲しいし恋愛はもちろんしたいから、とりあえず返事をした。
「じゃあ早速、寮の仲間達に紹介するから来て。あなたを入れて5人しか今は住んでいないし、この時間はみんないるって確認取れてるから」
「はっ、はい」
母から持たされた菓子折りを手に、ケイティについて部屋を出た。