第2章 XOXO
「こんにちは。今日からお世話になります。春海セナです」
受付で名前を言うと、IDカードと部屋の鍵を渡された。
カウンターに置いてあるビル内の説明書を手に取り、自分の部屋へと向かった。
私の部屋は21階。
ビルの説明書を見ると、1階から20階まではオフィスやダンススタジオ、ヴォイスルームなどなど様々な施設名称がレイアウトと共に書かれてあるけど21階から上の説明は何もされていない。
(多分居城スペースだから、プライバシーに配慮されてるのかな?)
不思議に思いながらも自分の部屋のあるフロアにエレベーターが到着して降りた。
「ええっと、私の部屋は........」
キョロキョロと辺りを見回していると、
「セナ、こっちよ!」
私の名前を呼び手を振る人が、向こうの方に見えた。
「あっ、ケイティ?」
広いビルの中、漸く見知った人に会えて、嬉しくて走り寄った。
「やっと来たわね。待ってたわー」
「今日からお世話になります。宜しくお願いします」
「ふふっ、堅苦しい挨拶は抜きよ。あなたの部屋はここ。さっき業者が来て荷物は全て入ってるわ。ほら早く鍵で開けてみて」
「は、はい。色々とありがとうございます」
彼、ケイティ(♂)は私のマネージャーで、本名は吉田敬太郎という。見た目は体型ガッチリで髭の濃い男性だけど、中身は心優しきオネエだ。
契約の時に初めて会って、「ケイティと呼んで」と言われ、ケイティと呼ばせてもらっている。
今回の引越しの手続きとかも全てケイティがしてくれ、とても頼れる頼もしきマネージャーさんだ。
ガチャリと鍵を回してドアを開けた。
「わぁっ!」
六畳一間の1DKで家具は備え付きだと聞いていたけど、思ってたよりもきれいで広い。
玄関で靴を脱いで部屋へと入った。