第14章 初デート
流石に人が集まり出して来たから、私達はカフェを出た。
彼は手の指を絡めるように繋いで駅の方へと歩き出したから、電車で帰るのかと思った矢先、その途中のホテルのドアをくぐり、私にロビーで待ってろと言ってフロントへと行った。
そのまま待つこと数分で、彼は行くぞと言ってホテルのエレベーターに乗った。
最上階に近い階の数字を押すと高速でエレベーターは動き出す。
決してここは地元ではないけど、県民として長年住んでいて、こんな高い所まで登ったのは初めてだ。
ポーンという音と共にドアが開き、社長に手を引かれて一緒に歩いた。
ある部屋の前で、ドアにカードキーをかざして中に入った。
「わぁ.........」
目の前に、ヨーロッパのお城の様な内装の施された部屋が広がった。
「今夜はここに泊まる」
突然の、お泊まり宣言。
「え?あの...」
それって.......するって....事?
「心配するな、貴様の気持ちが落ち着くまで何もしない。今夜は一緒に眠るだけだ」
社長は私を優しく抱きしめると、ちゅっと、頭にキスを落とした。
「疲れただろう。先にシャワーでも浴びて来い」
「はい.....」
優しく背中を押され、私はそのままバスルームへと向かった。
「綺麗なバスルーム.....」
ここは、いわゆるスイートルームと呼ばれる部屋だろうか?
入り口を入ったら、外を一望できる大きな部屋が広がっていて、その横には、ベッドルーム専用の部屋があって、そこを抜けて来たこのバスルームもとても広くてゴージャスで、バラのバスボムが置いてある。
「アメニティも可愛い」
一つを手に取って蓋を開けると、シャボンの良い香りが広がった。
せっかくだから、バラのバスボムを使ってみたくて、バスタブにお湯を張る事にした。