第14章 初デート
「で、でも、私と一緒の写真なんて、迷惑じゃ」
社長が所属タレントとデートしてるとかって、きっとあまりいいイメージは持たれないよね?私は何て言われてもいいけど、社長が悪く言われるのは嫌だ。
「セナ」
「はい?」
彼は、周りの状況にあたふたする私の手を握って、力強く見つめて来た。
「貴様は俺の、この織田信長の女として堂々としていればいい」
「っ、............はい」
どうしよう.....本当にカッコいい。
うっとりと、彼に見惚れていると、彼の手が私の方に伸びて来て、口を触った。
「セナ.....」
「っ、...あの、...」
(もしかして....キスされる?)
「ケチャップがついてる」
!?
ヒィーーーーー!!
真剣な話をしていた矢先に、この恥ずかしさ!なんたる失態!!
恥ずかしすぎて白目を向いて倒れそうな私の口元を彼がすっと指先で拭うと.......
ぱくっと自身の口に入れた。
「しゃ、社長?!!!!!」
た、食べた!?
「どうした?真っ赤だぞ」
「あ、当たり前です!」
口にケチャップがついてた事も、それを彼が指で取って彼の口に入れた事も、経験値ゼロの私には、恥ずかしさと甘さがぐるぐるして頭がついていかない。
「ふっ、貴様はすぐ赤くなる」
感情が忙しくて、もう涙目の私の両手首を彼はやんわりと掴んだ。
「まだ取り切れてない。じっとしていろ」
「んっ.......!」
道行く人が見てるし、写真も多分撮られてるのに、彼は外の事を気にする事なく、私のケチャップのついた口を舐め(本当にまだついていたのかは疑問)、大人なキスを落とした。