第13章 観覧車
「ふっ.......うぅっ、もう.....抱きしめたりしない...で......つらくて.........うーー」
どうして、抱きしめるの?
忘れたいのに、この腕の中から逃げたいのに!
「違う、セナ俺は..........俺は...........」
身を捩っても、彼は強く抱きしめてその手を緩めてくれない。
それどころか、私の顔を引き寄せて口付けて来た。
..........えっ?何で!?
「やっ、..........ん........やだっ..........」
もう、身体だけの関係には戻りたくない!
それでも良いと思ったけど、やっぱりダメなの。抱きしめる腕も、重なる唇も.....私以外の女の人にもするのだと思うと、醜いどろどろした感情に支配されそうで、私は、そんな自分にはなりたくない!
けれど、彼のキスはとても温かくて優しくて.....
「ふっ、..........ん」
抵抗するどころか、まるであやされるようなキスに吐息が漏れた。
私は、いつも流される。
彼のこのキスに大した意味はないのに....
最後だからと....受け止めてしまった。
「セナ............貴様との専属契約は破棄する」
ほらね......
思った通り、彼は唇を離すと残酷な宣告を告げた。
「ふっ.........うぅ.............」
バカな私.......最後の最後まで、彼のキスに翻弄されるなんて......
本当の最後通告がされるその瞬間が来たのだと思ってまた、涙が溢れた。