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あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第13章 観覧車



たった三ヶ月、でも....嵐の様な三ヶ月だった。

全てが新しくて新鮮で、そして、少し甘くてとても切ない三ヶ月だった。


目を瞑れば、今もまだ彼の吐息や肌の感触が感じられる。

失恋を癒すには、その倍以上の時間がかかると聞いたことがあるけど、私の場合、立ち直るにはそれ以上の時間がかかりそうだ。

でも、....彼は何もなかった様にまた、ゴシップ誌を賑わすのだろう。私の事なんて、まるでいなかったかのように.......。


「あ、ダメ」

考えただけで涙が溢れて来た。

彼の事を忘れる事はできないけど、でも前に進みたい。

だから、今日一日だけは彼との思い出に浸って過ごしたい。

「って、全然思い出ないけど」

でも、一箇所だけ、彼と一緒に行ってみたいと思った遊園地の観覧車。そこに行こうと決めて、とりあえず向かった。



そして目的地に着いた私は迷わず観覧車に一人で乗ろうと思い、観覧車乗り場へ。

平日の昼ということもあり空いていて、私の前には一組並んでいただけ。

ただ私の前の男女二人組は、手を繋いで楽しそうに乗って行ったから、やはり観覧車とは、一人で乗るものではなさそうだ。


「次の方どうぞー」
と言われて、社長が隣にいる事をイメージしながら観覧車に乗り込んだ。


椅子に座り窓から外を眺めていると、急に男の人が乗り込んできた、


不審者かと思って
慌てて振り返ると..


「.....................し、社長!?」


急に乗り込んで来たのは不審者ではなく頭の中でイメージしていた社長本人!


「危ないですから座って下さいね。では行ってらっしゃーい」

降ります、降りたいですと言って逃げる間も無く係員さんが扉を閉めた。

それは、観覧車が一周する約15分間はもう降りられなくなったと言う事。


会いたかったけど、会いたくなかった社長は、少し呼吸を乱しながら険しい顔で、私の向かいに座った。


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