第13章 観覧車
「ふっ.......うぅっ、もう.....抱きしめたりしない...で......つらくて.........うーー」
セナは、更に顔をぐちゃぐちゃにして泣いた。
「違う、セナ俺は..........俺は...........」
言葉では伝えきれない。
涙でぐちゃぐちゃになったセナの顔を引き寄せて口付けた。
「やっ、..........ん........やだっ..........」
セナは少し抵抗したが、ゆっくりと、セナの唇を舌でなぞりながら何度も啄み、舌を重ね合わせた時には、呼吸も落ち着いて、俺の舌を大人しく受け入れた。
「ふっ、..........ん」
セナの吐息が漏れる。それはまるで鎮痛剤の様に、焦っていた俺の心を落ち着かせて行く。
一体、どこで間違えた。
いや、最初から間違ってた。
自分の心に蓋をして、セナを専属契約と言う言葉で縛った。
どんなに愛を囁かれても頑なに拒んで自分勝手なセックスを強いてきた。
結果がこれだ。
一番大切なものを傷つけ、太陽の様なセナの笑顔を陰らせた。
俺の事を忘れたいと言われても無理はない。
けど......まだ望みはある。
俺を忘れたいと言うのなら、俺が贈った服を着るわけがない。
どんなに泣いていても、この服はやはり貴様に似合ってる。
貴様は、俺が見つけた、世界にただ一人の奇跡だ。
誰にも渡さない。
「セナ............貴様との専属契約は破棄する」
「ふっ.........うぅ.............」
漸く俺を見たその目は、大きく見開いて、また大粒の涙を溢した。
恐らく、俺の言葉を間違って捉えてる。
「最後までよく聞け、契約なんてそんなもの、最初から必要なかった」
セナの頬の涙を親指で拭っても、その頬はすぐにまた濡れた。
「セナ.......俺は、.....貴様を愛してる」
一瞬大きく見開かれてた目は、徐々に細められ、また溢れんばかりの涙を流した。
「貴様の笑顔を取り戻したい。セナ、愛してる。」
セナは、声にならない声を上げて泣き、俺はただ抱きしめてやることしかできなかった。