第13章 観覧車
「.....................し、社長!?」
急に乗り込んで来た不審者が俺と知り、セナの顔が驚きから困惑した表情に変わった。
「危ないですから座って下さいね。では行ってらっしゃーい」
空気を読まない係員が俺に声をかけ、扉を閉めた。
俺はとりあえず、セナと向かい合わせに座った。
「...............ここで、何をしている」
セナは俯いたまま何も答えない。
泣き腫らした目と、震える華奢な身体に、思わず手が伸びそうになるが、先ずは話がしたい。
「セナ.........」
「..............っ、ごめんなさい」
震える声でセナは謝ると、膝に置かれたセナの手の甲に、涙がぽたぽたと落ちてきた。
「謝れと言っているわけではない。なぜ逃げた」
「.........ごめ...........なさい。ごめ..........なさい」
「貴様、あんなに俺を好きだと言っておいて今更逃げられると思ったのか?」
いつまでたっても俺を見ようとしないセナに焦ったさを感じて、セナの隣に移動して詰め寄った。
「.....っ、ごめんなさい、っく、好きなんて言って、嫌な.......思いをさせて........ごめんなさい。..........好きで、どうしようもなく社長が好きで、.........だから、分かって欲しくて....っく、でももう、言いません。だからもう.........許して下さい。.........くるし....くて、もう.............契約を....解除して下さい.........」
「...............なに?」
思いもよらなかった言葉に、一瞬視界が真っ暗になった。
「っく、事務所も.........辞めます。もう、普通の学生に、社長に出会う前の自分に、っく、戻りたい......」
「.......な...にを言ってる....」
俺を........忘れるつもりなのか?
我慢の限界を超え、両手を伸ばしてセナを掻き抱いた。