第12章 本当の気持ち
「っく、社長はどうして私とこー言う事をするの?うっ、っく」
突然のセナの問いかけに、また動揺した。
「何を今更.......反対に聞くが、貴様はなぜ俺とする」
質問に答えたくない俺は、反対に質問をして返した。
「っく、えっ?」
戸惑うセナの顔........
だが......
「...............すき、だから...だよ...っく」
逃げる事なく、奴は真っ直ぐに気持ちを伝えて来た。
「またそれか........、貴様は泣くかそれしか言えんのか」
その質問から逃げた自分への苛立ちはセナを責める事で解消しようとした。
「本当の事です。社長の事が好きだから、もっと知りたいと思ったから私は......」
涙ながらに隠す事なくその感情を俺にぶつけてくるセナにどうしようもなく心が掻き乱され、苛立ちはどんどん大きくなって行く。
「うるさい、そう言えば、優しくしてもらえるとでも思ったのか」
..........これ以上、俺を乱すな。
「違う、そんなつもりじゃ.......ん」
........煩い
「そんなに優しくされたいのなら、お望み通り今夜は優しく抱いてやる」
「好きです。.........社長が好き」
.......煩い
「っ、........それ以上言うなら優しくは出来んぞ」
「......好きです」
........煩い
「好き............」
煩い!
貴様に出会わなければ、こんなに自分を見失う事はなかった。
セナに....どんどん囚われていくこの感情が何と言うのかなど、俺には分からないし、知りたくもない!
・・・・・・・・・
結局は、自分の苛立ちを隠す様に激しく抱いてしまったが、昨夜のセナのおかしな態度が全て繋がった。
「俺が..........追い詰めたのか....」
セナの思いから逃げ続け、自分の中に芽生えた気持ちを誤魔化し続けた俺が招いた結果だ。