第12章 本当の気持ち
「...........信長ちゃん、それってセナの事を......」
「おい、貴様が言うな、その先の言葉は俺からセナに伝える」
「やだ、信長ちゃんカッコいい〜」
何故か急に腰砕け状態の敬太郎を部屋に置いたまま、車のカギを手に部屋を飛び出した。
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車に乗り車庫から出ると、行き先も分からずとりあえず車を走らせた。
セナに連絡を取ろうとスマホを取り出したが、
「.....................チッ」
俺は、セナの番号を知らない。
『せめて、連絡先を交換して下さい』
『そんなものは必要ない。俺は、貴様と専属契約はしたが、貴様の言う様な彼氏になるつもりはない。日々つまらん事で煩わされるのはごめんだ』
不安な顔で、連絡先を交換したいと言ったセナの言葉を跳ね除けたのは俺自身だ。
「...............クソッ!」
苛立ちをぶつけるようにスマホを助手席に投げつけた。
「セナどこへ行った........」
.................昨夜のセナは確かに変だった。
「泣くな、痛くないだろう」
しっかり濡れているのに、セナは泣くのをやめない。
普段なら、泣き声もそのうち止み、喘ぐ声へと変わっていたのに.......昨日は一向に泣き止まなかった。
「どうした。なぜ泣く」
初めてセナを抱いた夜から、セナはイカされる事以外、大した抵抗もせず、まるで人形の様に俺に抱かれて来た。それは少なからず俺を苛立たせていたが、セナを抱きたい欲はそんな事では治らない。
だから、そんなセナが泣き止まない事にどうしようもなく動揺した。
セナの体を起こし抱きしめたが、そこからどうしてやればいいのか分からなかった。