第12章 本当の気持ち
「そして、綺麗に関係を終わらせるために、最後だけは優しく抱くんだそうよ。昨夜、今までにない優しさでセナを抱いたんだとしたら、あの子、間違いなくアンタに別れを突きつけられたと思ったのね」
「バカな......」
俺は、別れるなんて一言も.......
それに......結局は優しくしてやれなかった...
俺は...... セナに何も言ってない。
会話らしい会話など.....一体どれ程しただろう......
「ちなみに、私はなんて言われてるか知ってる?信長が捨てた女達の慰め役よ!」
「貴様が勝手にやったことだろう、頼んだ覚えはない」
「そうね、信長ちゃんが私に頼んで来たのは一度だけ。セナのマネージャーになってほしいって事だけよね。それだけセナの事は大切に考えてるって思ってたけど.....
まぁでも、セナには可哀想だけど、こればかりは仕方ないわね。信長ちゃんに捨てられた女の後処理は私の仕事みたいだし?とりあえず探し出して、慰めとくわ。まぁ、初めてをアンタみたいな男に、しかも手荒く抱かれたんだとしたらトラウマにはなるでしょうけど........じゃあ行ってくるわ」
淡々と言い捨てて、敬太郎が部屋を出て行こうとする。
一体、何なんだ......
信長サインとか、最後とか、捨てたとか、俺はまだ何もセナに伝えていないのに、何が終わりだ!
焦燥感に駆られる。
「.......待て」
セナが、いなくなる?
「何よ、早くしないと思い詰めて死なれても困るのよ。あの子、信長ちゃんの事すごーーーく好きだったから。その身を犠牲にしても厭わない程にね」
そうだ、俺を好きだとあんなに言っていたくせに...、何故逃げる!?
「俺が行く」
「行ってどうするの?お前とは遊びだけどまだ終わってないから戻れとでも言うつもり?」
「何とでも言え、俺は今まで一度だって、セナの事を遊びだと言ったことはない。セナは俺が連れ戻す。今日の予定は全てキャンセルする様秀吉に伝えておけ!」
俺から逃げられると思うな。
俺は、貴様を手放すつもりはない。