第11章 最後の夜
何を言っても、何をしても彼を苛立たせる私は、彼の特別になれるわけが無い。
「ふっ........っく、ひっ、......っく」
もう、涙の止め方が分からない。
「............泣くな、痛くないだろう」
彼の激しい行為に泣いたと思ったのか、彼は珍しく動きを止めてくれた。
「っく、ごめ......なさい......ひっく、」
「.............セナ」
私を見る彼の瞳が揺れた。
「どうした。なぜ泣く」
私の体を起こすと、彼はそのままそうっと、抱きしめてくれた。
「っく、社長はどうして私とこー言う事をするの?うっ、っく」
好きじゃないのに何で.......そんな事ができるの?
「何を今更.............反対に聞くが、貴様はなぜ俺とする」
「っく、えっ?」
聞きたかった質問の答えは、質問返しにあい、聞き出せず失敗に終わった。
どうして社長とするのか........?
私に、しなくてもよかったと言う選択肢があったのかどうかは今となってはもう、混乱して分からないけど.........
でも、抱かれ続けている理由、それは............社長の事が好きだから......
半ば強引に処女を奪われて、毎晩人形の様に抱かれ続けたけど、だけど好きだから、受け止めようと思ったし、怖かったけど、今でも怖いけど、いつかは、深く彼と繋がれるような気がしていたから.........
「...............すき、だから...だよ...っく」
「またそれか........、貴様は泣くかそれしか言えんのか」
「っ、本当の事です。社長の事が好きだから、もっと知りたいと思ったから私は......」
「うるさい、そう言えば、優しくしてもらえるとでも思ったのか」
「違う、そんなつもりじゃ.......ん」
もう喋るなと、言葉代わりに塞がれる口はやっぱり苛立っていて.......
「そんなに優しくされたいのなら、お望み通り今夜は優しく抱いてやる」
離すや否や、残酷な言葉を吐いた。