第11章 最後の夜
ピンポーンと今夜もドアベルが鳴った。
まだ今夜も、彼との関係は続くと言うことだ。
寝起きでまだフラフラする体を動かして、彼を迎えに出た。
「お疲れ様です」
この時だけは、家に来た彼を迎え入れるみたいでドキドキするけど、
「っ...」
私の好きになった人は、いつもいきなり手を掴んで抱き寄せる。
でもこれは、彼の胸に頬を寄せて彼を感じる事ができる唯一の瞬間で、体を離せば、後はベッドに連れて行かれ抱かれるだけだ。
「あっ、」
当たり前に服を脱がされベッドに押さえつけられれば、
「ん、............っは、...........んぅっ」
噛み付く様に口を塞がれ胸を揉まれ、秘部を掻き回される。
彼以外を知らない私にとって、どの様に抱かれる事がいいのかなんて分からない。それに彼にとっては、壊れそうな程に女の人を抱く事が普通なのかもしれない。
でも、
「んっ、、ぁっ、やっ、やめっ」
愛のない行為でイかされたくないのに、
「抵抗するな、素直にイケ」
「っ、やっ、...........」
私の中を掻き回す彼の腕を掴んでやめて欲しいと懇願しても、
「ん、............っん、......あ、.....あっぁぁっ!」
私がイクまで彼はその手を緩めない。
「ふっ........っく、.................」
ビクンと快楽にのまれ仰反る自分は、とてもいやらしい女みたいで、背徳感でどうにかなってしまいそうで、イッた後はいつも涙が出た。
けれど彼はそれに動じる事もなく、まだわずかに痙攣する私の足を押し開いて、滾らせたものを一気に挿れてくる。
「はっ、や、....待って、まだ.........あっ」
「っ、セナ」
残酷な程綺麗な彼の顔が歪んだ。
少しは、私を感じてくれてるの?
彼が腰を動かせば、嫌でも声が漏れる。
「はぁ、あっ、あ、............」
「っく、......っ、そんなに締め付けるな」
綺麗な輪郭を流れる汗も、少し荒い呼吸も、苦悶の表情も........
私だけのものならいいのに......
愛おしい思いが募って手を伸ばし彼の頬に触れると、彼は目を見開き困った様な、複雑な顔をしながら私の手を掴み、ベッドへと沈めた。