第12章 :記念日はあなたと❹〜リヴァイ誕生日編:2023〜
少女はクリームを塗り込み広げながら、リヴァイの指をマッサージする。
『手にはツボっていう…押しながらマッサージするだけで、疲労やストレス症状などの不調改善に効くものが沢山あるの。』
「ほぉ…」
『例えば…リヴァイは夜遅くまで仕事してるでしょ?手の甲には【目の疲れ・肩凝り】に効くツボがあって、それをこうやって押す事によって…』
「…ン"!」
少女がツボをぐっと押すと、リヴァイの顔が一瞬歪む。
『不調が分かるんだって。つまりリヴァイは今、肩こりと目が疲れてるって事。』
「なるほど…」
『でもこうやってハンドクリームを塗りながら、手のマッサージすれば…気持ち良いし改善出来る。手も保湿されて、不調も改善されるなんて…とっても良いでしょ!そして更に…』
少女はニコニコしながら、リヴァイの手を自分の手の上に乗せる。
『何かポカポカしない?』
「?…確かにな。」
『マッサージして血行が良くなったのもあるけど、そのハンドクリーム…温感効果があるの。だからツボ押さなくても塗るだけで、ポカポカするんだよ。これで手袋無しでも、手はポカポカ。はい、出来上がり!どう?このクリーム、気に入った?』
「…悪くねぇ。」
リヴァイはフッと笑う。
「だが…マッサージは自分で出来る気がしねぇし、そんな時間もねぇ。だから…マッサージする時は、おまえが塗ってくれ。」
『え?!でも私だっていつも出来る訳じゃないし…じゃあマッサージ、教えてあげる!』
「あぁ、次はおまえの手を貸せ。」
『いいよ。』
リヴァイはリンが差し出した、白くて小さな手を握る。
「おまえの手は…小さくて、スベスベしてるな。」
『私はいつも、ハンドクリーム塗ってるからね!』
そして説明を聞きながら、少女の手をマッサージし始めた。
誰が見ても…恋人同士が手を握り合い、イチャイチャしてるようにしか見えない。
それを柱の影からニコニコ見守る、食堂の給仕達。
そして…恨めしそうに見る、ハンジ。
「全く…誕生日だから暫く放っておこうと思ったけど、いつまでイチャイチャしてんのさ!ちょっとオルオ、君あそこ行って声かけて来てよ!」
「え?いやいや、何で俺っすか?」
たまたま通りかかったオルオに、白羽の矢が立つ。