第10章 :ハンジの調合薬シリーズ 〜番外編❶〜
〜リヴァイ編〜
バン!
「おはよう!実は昨日君に…」
「おい、くそめがね!てめえ…きのうおれに、なにしやがった?」
早朝。
ベッドの上で呆然としていた黒髪の幼児が…勢いよく扉を開き許可もなく部屋に突然入って来たハンジを、鋭い目で睨む。
アハハハハハ!!
「やった〜!!あの薬、30代でも効果あるんだね。大成功だ!」
ハンジは幼児を見つめ、腹を抱え爆笑してる。
「てめぇ…こんどはおれで、じっけんしやがったな!」
幼児になったリヴァイはベッドから飛び降り、ハンジに蹴りを入れようとするが…幼児の短い足では届かず頭を押さえられてしまう。
(こいつ…きょうこそ、ころす!!)
怒りで震えるリヴァイだが、幼児のリヴァイにはいつもの迫力もなく…成す術がない。
すると…
コンコン
ハンジが開けた扉を、誰かがノックする。
『リヴァイ?何かあったの?』
リンがひょっこりと扉から顔を覗かせ、部屋に入って来る。
「あっ、リン!」
「リン…」
『えっ……』
リンはハンジと幼児を交互に見つめる。
『もしかして…その子、リヴァイ?』
「そう!リンが飲んだ薬、何才くらいまで効くのか知りたくて…昨日リヴァイの紅茶に薬を、シロップにして入れたんだ!」
『凄いね、ハンジ!天才じゃない!』
「デショ、デショ〜!」
『でも巨人って、年令関係なくない?』
「巨人だけじゃなくて、何かに使えるかもしれないでしょう?」
『そっか…なるほど。』
「おれを、むしするんじゃねぇよ!!」
幼児リヴァイはハンジの手を払い除け、その足を踏みつけると…少女リンを見上げた。
『リヴァイ、あなた…』
リンは静かに幼児を抱き上げ、自分の目線に合わせる。
『子供の頃って、こんな感じなんだね。何か…小さくて、可愛い!』
と、抱きしめた。
「ちいさいって、いうんじゃねぇよ!」
(こいつ…むねデカいな)
幼児リヴァイは少女の胸の上で、そんな事を思っていた。
『で?これいつ元に戻るの?』
「さぁ?」
「はぁ?てめぇ、ふざけんじゃねぇよ!」
「今日は君休みだし…せっかくだからその姿で、休み満喫したら?」
『じゃあ私と過ごそう!』
「まぁ…つきあってやってもいい。」
リヴァイは小さく笑みを浮かべ、頷いたのだった。