第9章 リヴァイ誕生日2022 フルver
以前から予約注文していたリヴァイへのプレゼントを受け取り、リンが店を出ると…雪がかなり降り積もっていた。
少女は悴む手にハァと息を吹きかけ、ポケットを探るが…手袋を忘れた事に気付く。
(手袋忘れちゃった。洗濯して、そのまま部屋に置き忘れたな。)
『…実物の雪ってこんなに綺麗で、冷たかったんだ。やっぱり実際見ないと分からないね。』
少女は雪の中空を見上げ、暫く佇む。
〔マスターいい加減にしろ、風邪を引く〕
『ごめんごめん!手も冷えるし寒いから、お茶飲んで戻ろう!』
少女が馴染みのサロンに向かう途中、辺りを見回す見知った人物を発見する。
(あれ?あれって…)
『リヴァイ!!』
寒さも忘れて駆け出す。
『キャッ!!』
リヴァイの元に辿り着く手前で、凍り付いた水溜りに足を滑らせ…身体が傾いた。
(あっ、痛…くない?)
ふわりと紅茶の香りがして、誰かに受け止められた。
「馬鹿が!ガキみてぇに、雪の中走るんじゃねぇよ。」
『リヴァイ、ありがとう。』
怒られた事も気にせず、少女は満面の笑みでリヴァイに抱きつく。
「チッ、全く…お前は。」
リヴァイはいつものように小さく舌打ちしたが、受け止めた少女の身体を放し頭に乗った雪を払い落とす。
「こんな雪の中、何してた?風邪引くだろうが!」
『買い物して外に出たら、いつの間にか雪降ってて…。仕事終わったんだね!リヴァイも買い物?』
「あぁ、年末の大掃除で使う道具を見て来た。」
『ふふ…リヴァイは本当に掃除、好きだね。』
「てめぇも、自分の部屋は早めに掃除しろよ。その後、ハンジの汚部屋掃除に付き合え。」
『…それが1番憂鬱だよ。』
「同意する。」
2人顔を見合わせ笑う。
「それより…寒いから、あそこ入って茶飲むぞ!」
リヴァイがカフェを指差し、リンに手を差し出す。
『ふふ…私も同じ事考えてた。』
「そうかよ。冷てぇ!てめぇ…手袋どうした?」
『忘れちゃったの。だから…リヴァイの手で温めて。』
少女は嬉しそうにリヴァイの手を、ギュッと握る。
そして2人は早足でカフェに入った。
『ハァ…やっぱり店内は温かくて、落ち着くね。雪も綺麗で楽しいけど、最後はやっぱり温かい室内でお茶が良いよ。』
少女は両手を温めるようにカップを持ち、向かいのソファに座るリヴァイに微笑んだ。