第7章 :ハンジの調合薬シリーズ 〜チビたんとりばい❷〜
コンコンコンコン
激しく叩かれる扉を不審に思い…エルヴィンは注意深く、静かに扉を開けた。
「ッ?!」
突然…黒く小さなモノ乱入し、足元にしがみつき驚く。
『えるびん、ごめんね。とびらがあけられなかったの!』
見下ろすと幼女:リンが、笑顔でエルヴィンを見上げている。
エルヴィンは嬉しそうに笑うと、幼女を抱き上げ部屋へ入った。
『このへやに、かくれてもいい?』
「構わないよ。」
『どこなら、みつからないかなぁ?』
「そうだな…このソファの影ならどうだ?」
リンの小さな身体なら、観葉植物に隠れて分かり辛いだろうと予想する。
(だがまぁ…あいつには無意味だろうがな。)
エルヴィンは小さく笑う。
『わかった〜じゃあそこにかくれる!えるびんもシーだよ。』
幼女は口元に人差し指を充てると、ソファの影に小さな身体を滑らせた。
それを見届け…エルヴィンはまた机に向かい、仕事を再開した。
暫くすると…
コンコン
扉が鳴る。
「入れ。」
エルヴィンが答えると、扉が開き1人の男が入って来る。
「書類か?」
「あぁ。まだ全て終わってねぇが、夜までに終わらせる。」
「今日が締め切りではないから、別に明日で構わないぞ。お前も忙しいだろうからな。」
エルヴィンは渡された書類から視線を上げ、男を見つめる。
「いや、これは俺のケジメだ。」
「そうか…あまり無理はするなよ。」
「あぁ。」
(…りばいきた!)
幼女が身を縮めるのと同時に、鈴がリリンと小さく鳴る。
「ところで…随分面白そうな事を、始めたみたいだな。探しモノは見つかりそうか?」
「あぁ、もう見つけてる。」
「流石だな。」
「あいつは俺が、1番最初に見つけると決めてるからな。」
「なるほど。」
そう言ってエルヴィンはまた、書類に視線を戻した。
「つまり…もう隠れても無駄だ。リン!」
リヴァイは静かにソファに近付き、幼女の頭をクシャっと撫でた。
『りばい、すごい!どうしてわかったの?』
幼女は目をキラキラさせ、リヴァイを見つめ立ち上がった。
「俺はお前を見つけるのが1番、得意だからな。」
幼女の手を取り抱き上げると、また鈴がリリリと鳴る。
(この部屋の花香りと鈴の音…俺以外に分かってたまるか)
リヴァイは自慢げに小さく笑った。