第2章 :思い出を一緒に〜promise〜
『ありがとう、お兄ちゃん。』
「ファーランだ。」
『ファー…ラン?』
「俺の名前。チビ助、おまえの名前は?」
『リンだよ。』
「そっか。それでリン、おまえ地上の人間だろ?」
『うん。』
「だよなぁ…どうするかな。」
ファーランは困ったように呟く。
『?』
リンは首を傾げる。
「地下街の人間が地上に行く為には、通行証が必要なんだよ。つまりそれがないと、おまえを地上に帰せない。持ってないだろ?通行証。」
『通行証は持ってないけど…わたしを探知する【証】があれば、迎えに来てもらえるよ。』
「そうなのか?だったらそれで…」
『でもその【証】を、逃げてる途中落としちゃって…』
リンは今にも泣きそうに、顔を歪ませる。
「証って何だ?」
『金色の鈴。それがあれば家族がわたしを見つけて、迎えに来てくれる。』
「鈴…かぁ。つまりそれがあれば、おまえは地上に帰れるんだな?」
『うん…』
「…よし分かった。俺がその鈴、探してやるよ!」
『えっ?!』
「おまえを助けたのは俺だし、いつまでも此処にいるわけにもいかないだろ?それに…俺はこういう仕事慣れてるから、任せておけ!」
『仕事?でもわたし、お金持ってない…』
「報酬は迎えに来た、おまえの家族にでも貰うよ。じゃあ交渉成立だな!」
『うん!よろしくお願いします。』
リンはペコリと頭を下げた。