第2章 :思い出を一緒に〜promise〜
朝日が昇ったようで…地上の僅かな隙間から日の光が入り、屋上も少し明るくなっていく。
その光を浴びて、少女は静かに目を覚ました。
「おはよ!起きたか?」
ファーランは被せていたブランケットを剥ぎ取り、少女の顔を覗き込む。
『おはよう…』
少女はボサボサになった髪の毛を手櫛で直し、ファーランをボーッと見つめる。
「寝てる奴の手当てをするのは難しいから、まだ傷診てないんだ。今から手当てしていいか?」
少女はコクリと頷く。
「…血が固まってるな。まずこれを洗い流して傷口を綺麗にし、消毒薬を塗る。滲みるけど我慢しろよ。」
『痛ッ…』
血を洗い流し消毒薬を塗った瞬間、痛みで震え手を引こうとした少女だったが…ファーランは手を掴んだままお構いなしに、テキパキと薬を塗っていく。
「ほい、終わり!よく頑張ったな。」
手慣れた手付きで布を巻き、未だプルプル震える少女の頭をポンと優しく撫でた。
『ありがとう…』
「おぅ。腹も減ったろ?これ食べな。」
少し硬めの小さなパンを2つ差し出すと、余程お腹が空いていたのか…少女は勢い良くそれにカブリつく。
ケホッケホッ
しかし一晩飲まず食わずだったせいか、パンが喉に詰まり咳込む。
「慌てんな、ほら水。」
青年から受け取った水で、喉に詰まったパンを流し込むと…少女はやっと一息ついた。