第2章 :思い出を一緒に〜promise〜
なぜ助けたのか分からない。
この地下街で聞こえる悲鳴なんて、日常茶飯事だ。
普段なら助けない。
なのにあの少女を見た瞬間、ただ漠然と助けなきゃと思った。
立体起動で降り立ち目にしたのは、黒髪に白い服を着た…小さくて綺麗な子供だった。
一目で東洋人だと分かった。
確かに東洋人は希少価値があり、売るとかなりの額が手に入るらしい。
でもそんな事に興味はなかった。
俺たちのリーダーは人身売買が嫌いだし、俺自身もそんな気になれなかった。
俺はその少女を立体起動装置で、ビルの屋上へと上げた。
すると怯えていたその子は、必死に掴まりながらも笑顔になる。
俺の顔も緩んだ。
(笑うと可愛いな…。)
笑わなくても美少女だと分かったが、笑うと更に可愛かった。
年はイザベルより、かなり下か?
背が小さい為、実年齢は不明だった。
「大丈夫か?」
追っ手を撒き、静かに降ろし話しかける。
「ありがとう!お兄ちゃん。」
少女は満面の笑みを浮かべた。