【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第2章 僕を見て
何度あれからもう一回が続いたのかはわからないが、傾いた陽が地面に飛雄と空の影を落とし始めた。
「飛雄、空ちゃん、水分取りな」
そこへ一与が2つのコップに入ったオレンジジュースを持って飛雄と空のいる庭へと続く窓を開けた。
「「そういえば、喉渇いた」」
飛雄と空の声が綺麗に揃い、一与の元へ駆け寄ってコップを受け取る。
飛雄と空はバレーとなると周りが見えなくなり、時間があればあるだけバレーに時間を費やす。
それは決まって、隣には飛雄が、空が、常にいる。バレーがなくても大抵傍にいる2人はきっと、お互いなくてはならない、唯一無二の存在であるからなのだろう。
「ごちそうさま」
飛雄は一気に飲み干すと、一足先に庭へと戻り、練習を再開する。
「飛雄はやーい!」
ジュースを急いで飲み干そうとする空に、一与は空の頭に手を置き撫でながらゆっくり飲むよう促す。
「飛雄も空ちゃんも、少し休憩したら?」
一与は飛雄と空の体調を心配し、休憩を勧めるが、飛雄も空も首を横に振った。
飛雄はボールを頭上に上げ、直上トスを始める。
直上トスの連続回数が目標回数を達成する事が、ここの所の飛雄と空の課題であり、飛雄の直上トスを見ようと、空はジュースの残りを一気に飲み干した。
そんな空に一与は微笑むと、空になったコップを空の掌からするりと受け取った。