【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第2章 僕を見て
本来、空の唇を見るとドキドキしてしまう事を空に伝えるはずであったのが、何故か飛雄の口からはそれとは真逆の言葉が、自分の奥深くにあった本心が思わず口から出てしまうなんて思っていなかった飛雄は、顔を真っ赤にして否定の言葉を伝えようとするも、頭を必死に横に振るだけで、肝心の言葉が出て来ない。
「飛雄、キスってなに……?」
「……唇合わせる事……」
「…………あっ」
飛雄の言葉を聞いて空は夜での出来事を思い出した。
思い出した瞬間、何故だか早まる胸の鼓動に空は首を傾げる。
「…………飛雄」
空は未だ俯く飛雄を見つめると、飛雄の目の前へと空は自分の顔を寄せた。
自分の視界に映り込む空の足に気付いた飛雄は、ゆっくりと顔を上げ、激しく鳴る自分の鼓動と顔の火照りに気付かない振りをして空の唇に自身の唇を押し付けた。
「…………」
「…………」
飛雄と空は、どちらからともなく唇を離すと、俯いた。
静かな時が流れる空間に飛雄も空も俯いたまま口を開かない。
「…………」
「…………」
「……また、しても良い……?」
先に沈黙を破った飛雄は、ちらりと視線だけを上げて空を見つめた。
「うん」
俯いたまま頷いた空を見た飛雄は、口元を緩めると、空の手をそっと握った。
空もまた、飛雄の手を握り返すと、どちらからともなく互いの額を合わせ、微笑んだ。