【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第2章 僕を見て
洗面所から戻ってきた空は居間から、1人オーバーハンドパスの練習をする飛雄の姿を見つめ、頬を緩ませた。
飛雄のバレーは本当に綺麗だ。小さい頃から一緒にやってきたが、飛雄のバレーはずっと見ていても良いくらいに好きだ。ボールと飛雄が一体になっているかのように感じられる様子は、見ていて飽きないのだ。
幸せな気持ちで胸が一杯になっている空等、飛雄は露知らず。
飛雄は、空が洗面所から居間へ戻ってきていた事には気付いていたが、立ち止まってなかなか自分の元へ来ない空に、待つ事に限界を迎え、視線を移した。
「空、早く。空のスパイク」
「あ、うん!」
飛雄は今朝、空から、昨日のチーム練習の休憩中に上級生の上げたボールを見様見真似でスパイクを打った所、コーチに驚かれ、称賛された為もっと練習したいと言われていた。
「投げるよ」
「うん!」
飛雄の手から上へ放たれたボールに空は、助走をし、高く飛ぶ。目の前で見る空の跳躍に飛雄は、瞳を輝かせ、あまりの美しさに見惚れる。
空のバレーをもっと見ていたいと、飛雄は最後のスパイクを打つ瞬間まで見逃さないように、大きく目を見開く。
空の綺麗に決まったスパイクによってボールは地面へと音を立てて落ちる。
同時に地面へと着地した空は、飛雄に満面の笑みで抱きついた。
「飛雄!飛雄!!」
「うん、決まった…!」
「飛雄、もう一回!!」