【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第1章 君との大切な絆
「飛雄と離れるなんて嫌だよ!!」
飛雄も絶対に離さないと言うように、空の手を握り、一与を見つめた。
空も、飛雄の手を握り返し一与を見つめるが、一与はそんな飛雄と空の行動に困惑の表情を浮かべた。
しかし、そんな不穏な空気の中、少し離れたソファに座って黙視を貫いていた1人の少女の耐えるような笑い声により、一斉に少女へと視線が向けられる。
「……美羽ちゃん……?」
飛雄の姉である美羽の様子に、空は首を傾げ呟いた。
美羽は、飛雄と空を懐かしむように見つめ、口角を上げて話し始めた。
「2人がまだもっと小さい頃、飛雄がボールを涎でベタベタにして持って咥えてる横で、空がそのボールを、満面の笑みで触ってたんだよね」
一与はその時の光景を思い出し、懐かしむように頬を緩ませた。
一方、飛雄と空は、その時の光景を想像しては、何とも言えない表情で互いの顔を見合わせ、再び話し始めるであろう美羽へと視線を移した。
「で、ボール離そうとしたら2人共、絶対離さなくてね……、遂には飛雄なんて、飛雄の涎でベタベタのボールを触ってる空を離そうと、抱っこしようとしたら、急に空をぎゅっと抱き締めちゃって、離さないんだよ。あれには本当に困ったよ……、ね、一与くん」
美羽は一与へ視線を移し、同意を求めた。
「そうだね……、そんな事もあったね……」
一与は微笑みながら、成長した飛雄と空を見つめた。