【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第2章 僕を見て
「んっ……」
物音で目を覚ました飛雄は、突然視界に入った姉に飛び起きた。
「飛雄、静かに。空、起きちゃうよ」
一瞬身じろいだ空に姉弟は焦るも、再び寝息を立てる空にホッと胸を撫で下ろした。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。自分と空に掛けられているタオルケットを見つめる飛雄に、美羽は空の頭を撫でていた手を止め、向き直った。
「飛雄、空の事、ありがとう」
小声で告げる美羽の言葉に飛雄は首を傾げた。
「夜の事。何か元気ないなとは思ってたけど、まさかあんなにも思い詰めていたなんてね……」
飛雄は美羽の言葉に、先程の疑問が解け、納得した。
確かに少し大きな声で泣いていたから、目が覚めるのは致し方ないだろうと飛雄は頭の中で解決するが、ふと疑問が生じ、固まった。
「もしかして……全部見た?」
美羽の首が縦に振らない事を祈りつつ、焦る心を落ち着かせながら、小声で飛雄は尋ねた。
「?…………あー、全部一与さんと見たよ」
飛雄の様子に納得した美羽は、頷いた。
美羽の言葉に飛雄は頬を染め、震える唇を噛み締めた。
「お風呂、一緒に入ってる癖にキスで恥ずかしがるの?」
「……キス?」
首を傾げる飛雄に美羽は固まった。