【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第2章 僕を見て
「うん、髪切りたくないから。高校のバレー部、ショートが暗黙のルールだし」
「そっかー」
「……一与くんもくだらないって言う?」
美羽は一与へと振り向き、小さく俯いた。
「え、何で」
「彼氏に「そんな理由くだらない」って言われた」
「!!!そっ!!!」
一与は美羽の彼氏という単語に肩を跳ねさせ、絶望感漂う顔で声を震わす。
「くだらないかどうかなんて誰かに決められる事じゃないよ……!」
(美羽ちゃん彼氏居るの……!!!)
「一与くん大丈夫?」
肩を落とし、背中を丸めて話す一与に美羽は尋ねるが、一与は笑顔で親指を立て話し続ける。
「自分の「大事」を一番わかってるのは自分だよ……!」
「ねえ、本当に大丈夫??」
飛雄は一与の言葉を頭の中で繰り返すが、先程から大きく目を見開き、固まる空が気になり小さい声で「空……」と呟く。
明らかに落胆している空の瞳は暗く、何も映していない。
飛雄は急激な不安に苛まれ、空の元へボールを抱いて駆け寄った。
突然目の前に現れた飛雄に空は驚き、首を傾げる。
「飛雄……?」
飛雄の登場により、空の瞳は色が戻り、飛雄を映すが、本来の空には戻っていない事に気付く飛雄。
一旦空から離れ、ボールをソファに置き、再び空の元へ戻ると、空の手をそっと握った。
「空、今日は一緒に風呂入ろ」
「…うん?」
「寝る時も一緒だよ」
「…?うん」
泊まりの時は、風呂も寝る時も常に一緒の2人だが、何故か確認してくる飛雄に空は首を傾げるも、とりあえず頷いた。