【ハイキュー】キッカケはいつも君だった。【影山飛雄】
第2章 僕を見て
辺りの景色が暗くなり始めると共に、家々の灯が灯り始めた。
あれからひたすらバレー三昧だった飛雄と空は、暗くなり始めていた景色にも気付かずバレーに明け暮れていた。
「飛雄、わたし、おトイレ!」
「うん、待ってる」
空は、居間へと続く窓を開け、小走りでトイレへと向かった。
扉を開けると、トイレの白い壁に大きく描かれた、2つの人の顔のような物と丸い物が視界に入る。
飛雄と空が小さい頃に2人で描いた物だ。2つの人の顔のような物は、勿論飛雄と空で、丸い物はバレーボールである。
当時、2人で描いていた所を見つけた一与は、決して怒らず、頬を緩ませ、静かに見守った。
だがその後、トイレ以外の場所へも描かれていく絵に、一与は2人に代わりとして黒板を与えたのは言うまでもない。
描いた当の本人である空はそんな一与の計らいも知らず、絵を見ては小さく笑う。
用を足した空は、手を洗い、扉を開けると、居間から聞こえる美羽の声に頬を緩めると、スキップをして居間へ向かった。
「えっ、美羽ちゃんバレーやめちゃうの」
庭へと続く窓を開け、飛雄と向き合っていた一与が、背中合わせにチラリと視線を一与へと向け、制服姿で携帯を片手に話す美羽へと振り向き、驚いた表情で放った一言に、空は大きく目を見開いた。