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illusionary resident

第3章 ひたむきな姿勢


 なんで、って…ペアを組んでるんだもの。足を引っ張りたくない。力不足なのは解ってる。
 だから、頑張る。やれるだけの事はするんだ。
 当たり前の事を聞いてくる仁王を不思議に思いつつ、萌は素直に答えた。

「…先輩の足を引っ張りたくない…一緒に頑張りたいからです」

 それを聞いて彼は、一瞬驚きと羨望の入り混じった表情を見せ、すぐに横を向いた。

「…ひたむきな奴は応援したくなる」

 視線を逸らしたまま独り言のように呟く。

「まっすぐ前だけ見て進む…それがお前の良いところなんじゃろうな」

 …ん?誉めてくれたの?
 テニスでは相手を欺くプレイスタイルだが、本人はひたむきさに心を動かされる感情はあるようだ。
 手当てしてくれた仁王にお礼を告げて、その日は皆より先に帰宅した。
 次第に努力を認めてくれる、相手の良いところを見つけようとしてくれるなんて、やっぱり仁王はすごいダブルスプレイヤーなんだと実感した。



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