第14章 短期合宿2
…え?
柔らかな声が降ってきて、抱きしめる腕が緩められた。ドキッとしてつい上を向くと、彼のやるせない表情とその艶っぽい瞳に釘付けになる。仁王は萌の頬に片手を添え上体を屈めてきた。
あ、あれ…?前回の時と同じ流れ…頬にキスされる…!
前回の合宿を思い出し、にわかに緊張してきてかたく目を閉じた。その直後、柔らかく甘い感触が唇に落ちる。
……なに…、今の…
何が起こったのか理解出来ず、呆然とした顔で仁王を見つめる。少ししてから、ようやく唇を塞がれていたと分かった。
彼ははにかんだ笑みで独り言のように告げる。
「どちらにしろ、恥ずかしいのう」
相当恥ずかしかったようで、仁王は腕を解いてそのまま立ち去ってしまった。
胸の鼓動が先程から鳴り止まない。彼の瞳がいとおしそうに切なく瞬くのを思い出す。
また冗談なの?あたし…からかわれてるの?
それとも……あたしと同じ気持ちでいてくれてるの…?
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