one piece of my Dream [ワンピース]
第9章 心の在処
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俺の鼻腔をくすぐる、甘くて優しい香りで目が覚める。
しんと抱き合ったあと、
意識を手放したしんを抱きしめて眠った。
まだ、俺の腕の中で眠る姿が愛しくて仕方がない。
決して、心が通じあったわけではないが、
これをきっかけに俺の方を向いてくれたら。なんて、
柄にをないことを考えてしまう。
「……ん…」
可愛い声とともに俺の胸に擦り寄るしんを、
襲ってしまいたくなる衝動をなんとか抑え、
柔らかな頬に手を添える。
そのまま唇を親指で触れると、
真っ赤な舌がペロリと舐めた。
……ああ、舐めさせてぇ…
舐めて、吸って、そのまま………
「……あ、…やべ………」
想像しただけで体が疼く。
「……重症だな…こりゃ……」
気持ちを抑えようと、タバコを吸うためにしんから離れようとすると、
服を掴まれていたらしく、動けなかった。
「………待っ…て………キヨ…………」
微かに聞こえたしんの声は、俺の名前を呼ばなかった。
『キヨ』
何度か聞いたことのあるその名前は、いつも俺の心を締め付ける。