第10章 貴方の声が

『しん』

アナタの声が聞こえた気がした。

心の奥まで響くような声。

鍛え磨いた逞しい身体。

不器用な言葉も、気高い意志も。

優しく触れる指に、甘く荒いキス。

ほんの少しの間でしか一緒に入れなかったのに、

こんなにも体が心が覚えている。



ねぇ、ゾロ。

『アナタの声が』アナタの全てが、忘れられないよ。

会いたくても会えない。

最後に伝えたかった言葉は、

伝えられないまま。



…………アナタの事を愛してしまった私を

許して。









Fin.