第1章 こんにちは五木荘
扉を閉めて改めて収納を確認した。押し入れや台所のシンク下など意外と広々としていて快適そうだ。
荷物を待つ間ふと大家さんの言葉が思い返される。
(小さい子も出入りするから…)
それは、まだ見ぬ学生さんの兄弟だろうか。それとも大家さんのお子さんが懐っこい子でいろんなお部屋に遊びに行ってしまうと言う事だろうか…。
ただ、自分の仕事も来週には始まり朝早く出て日中はいないことが殆どだ。あまり深く考えず、新居のインテリアに思考を巡らせた。
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「こんなもんか。棗にしては少ないな。」
父が車を敷地内に止めて2人で何度往復しただろう。少ないと言っても荷物は生活必需品がほとんどを占めていて、助手席は寝具に取られてしまった。
「かなり洋服や雑貨は捨てたからね。食器とかはお母さんが使うっていうから少し置いてきた」
「まぁなんか食べてから、暗くなる前に荷解きを終わらせたほうがいいだろう」
携帯を見ればお昼を回っていた。駅前のファミレスで一息つき、まだ手伝えると言ってくれた父に感謝を伝え、重いものはもう設置してもらったからと断った。
駅前のロータリーで車を見送ったあと、一人暮らしは初めてでないのに寂しい気持ちがふと顔を出す。
一歩踏み出したはずが、新生活のエンジンがかかって焦るなんて…気持ちだけがまだ後ろを向いている…。
これじゃダメだとかぶりを振って、アパートの方向へ向き直す。
時刻はおやつどきだ。早く戻ってソファーベッドだけでも組み立てないとならない。
夕飯用にコンビニ弁当を調達し、足早に歩き出した。