第7章 うなれ体育祭
そんな私たちを気にも留めず爆豪さんは両手を体操服のポケットに突っ込みながら選手代表とは思えぬ態度で号令台に登る。
「せんせー」
爆豪さんの選手宣誓が始まり、先程まで賑わっていた会場は一気に静まり返る。そして私たち1年A組は息を飲む。彼が一体何を言うのだろうと言う期待からでは無い。爆豪さんがこの場で問題発言をしないかと言う懸念からの行動だった。息を飲み、1回瞼を閉じて開いたその時、爆豪さんの口が開く。
「俺が1位になる」
「絶対やると思った!!」
私たちの予想は的の真ん中を射抜き、わざわざ敵を作るような選手宣誓に案の定多くの生徒が怒りを露にした。会場は一瞬でブーイングの嵐と化した。
「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」
そう言って爆豪さんはここにいる選手全員に向けて首を切るジェスチャーをした。もう手に負えない彼の言動に私たちは頭を抱えるしかなかった。
「さーてそれじゃあ早速第1種目行きましょう!」
「雄英って何でも早速だね」
「いわゆる予選よ!毎年ここで多くのものが涙を飲むわ!!さて運命の第1種目!!今年は…!コレ!!」
ドラム音ともにミッドナイト先生の背後に大きなモニターが現れる。画面には発表を焦らすかのようにスロット形式で文字が回り続けている。生徒や観客が今か今かと発表を心待ちにしたその瞬間、モニター画面に第1種目の競技名が映し出された。
「障害物競走…!」
「計11クラスでの総当りレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4㎞!我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば”何をしたって”構わないわ!」
そんな意味深な競技説明が終わるとゾロゾロと各選手がスタート位置に着く。そして一呼吸置くまもなく
「スターーーーーート!!!!!」
スタートランプの色が消えると同時にミッドナイト先生の合図で雄英高校体育祭第1種目障害物競走が始まった。