第21章 林間合宿
期末試験後、ヴィラン遭遇事件、I・アイランド事件など濃密だった日々を過ごし林間合宿当日を迎えた。そして私たちは今雄英高校のバス乗り場にいる。今回の合宿は1週間の合宿という事もあり皆たくさんの荷物を手にしていた。
「え?A組補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと?!ええ?!おかしくない?!おかしくない?!A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?おれれれれえ!?」
バスの荷台に荷物を詰め込んでいる時にB組の物間さんがA組を見つけるや否や大きな声で嫌味を言うが、すぐさまB組の委員長である拳藤さんに手刀で首を打たれバスへと引きづられていった。
「物間怖」
「体育祭じゃなんやかんやあったけどまァよろしくねA組」
「ん」
先程の物間さんとは違って気さくに声をかけてくれるB組の女の子たち。
「よりどりみどりかよ…!!」
そんなB組の女の子たちを見つけた峰田くんは息を荒らげ涎を垂らしている。
「おまえダメだぞ、そろそろ」
「A組のバスはこっちだ、席順に並びたまえ!」
飯田くんのいつも以上に張り切る声が雄英高校のバス乗り場に響く。その後、バスに乗り込む時にどう座るかで揉めたのだが相澤先生の一声で皆すぐに席に着いた。私も流れるままにバスの窓際の座席に座ったのだが、暫くして私の隣の座席に腰を下ろした人物に目を丸める。
『あれ、また隣轟くんだ』
『言か、まただな』
そう、私と轟くんはUSJに向かう時のバスでも隣の席だったのだ。エンジンをかけたバスがわずかに振動してゆっくりと走り出す、次第にスピードを上げると静かだったバスの車内が賑やかになり始める。
『みんな賑やかだね』
「そうだな」
『…夏休み大変だったね』
「あぁ」
賑やかになってきた車内の様子を見て私も轟くんに話しかけるが、話がすぐに途切れてしまいとても気まずい雰囲気になる。
(轟くんとはUSJの時よりかは確実に仲良くなれたと思っていたんだけど勘違いだったのかな…)
1人でそう考えると何だか悲しくなってきて、落ち込む気持ちを紛らわす為にバスの窓にコツンと額を当てた。
「なぁ言」
『え、あ!何?轟くん』
そんな時、轟くんに話しかけられる。