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【ヒロアカ】folklore

第16章 知識を得る者




『「短い間でしたがお世話になりました」』


私と緑谷くんはヒーローコスチュームが入ったケースを抱えながら、グラントリノさんの自宅の扉の前でお礼を言う。


「何も世話してねえ気がするぜ職場体験もあれだったしな。言はルーシーへの挨拶は済んだか?」

『はい!大丈夫です!』

「いえ!発想のご教授と組手ぶっ続けのおかげでヒーロー殺し相手にも何とか動けました!」


グラントリノさんは緑谷くんの足を手にしていた杖で殴る。


「痛!!!」

「本気じゃないヒーロー殺し相手にだ」


その後、暫しのグラントリノさんからのお説教を受けた緑谷君であったが、最後はグラントリノさんから励ましの言葉を貰い、気を引き締め直していた。


「ん!それじゃ…」

「あの!!さ、最後に1つ!い、良いですか?!失礼と思って…ずっと聞きそびれててタイミング見つからなかったんですけど…」

「早よしろ!タイ焼き食べたいんだ」


緑谷くんはあせあせとしながらグラントリノさんに質問を投げかける。


「そんなに強くてオールマイトを鍛えた実績もあるのにグラントリノ、世間じゃほとんど無…無名…です何か理由があってのことなんでしょうか…?」

「あー…そりゃ俺元来ヒーロー活動に興味ないからな」

「へ?!」

「かつて目的の為に個性の自由使用が必要だった資格を取った理由はそんだけさこれ以上は俺からより俊っ…オールマイトが話してくれるのを期待してな。じゃあ以上!達者でな」

「あっはい!ありがとうございました!」


私と緑谷くんは深々と頭を下げてグラントリノさんに背を向け、雄英高校に向けて歩みを始めた。


「………君たち!!」


しかし、私達を引き止めるようにグラントリノさんが声を上げる。


「誰だ君たちは!?」


彼の口から出てきたのは私たちと出会った時に言い放った言葉だった。


「ここで?!えっと、だから…緑谷出…」

「違うだろ」


緑谷くんはグラントリノさんの言葉になんの事だと首を捻らせた。


『緑谷くん』


そして私は緑谷くんに目で合図する。


「………あ!デクです!!」

『ミコトです』


声を揃えてそう言うとグラントリノさんは満足げに私たちに背を向け建物の中へ入って行く。こうして私たちの職場体験は終わりを迎えた。




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