第11章 互いが互いのヒーロー
百を保健室へ送り届けた後、言はとある人物の控え室にへと向かっていた。そして目的の場所に着くと中から麗日の声が聞こえてくる。また彼女だけでなく緑谷や飯田もいるようで、緑谷は彼女に先程まで行われていた試合の結果を報告していた。そして麗日の試合は今やっている試合が終わり次第直ぐに始まる。言は控え室の前の扉の横で彼らの話が終わるのを待つため壁に寄りかかる。
「じゃあ…もう次…すぐ…」
直ぐにやってくるであろう試合に緊張しているのか麗日は言葉を詰まらせながら息を飲む。そして控え室には張り詰めた空気が漂う。
「しかしまァさすがに爆豪くんも女性相手に全力で爆発は…」
「するね」
そんな空気を変えようとした飯田だったが、爆豪をよく知る緑谷のその一言を聞いて納得したように「だよな…」と声を漏らしていた。
「皆、夢のためにここで1番になろうとしてるかっちゃんでなくとも手加減なんて考えないよ…」
緑谷くんの言葉に私は心臓がドクリと跳ねる。
(当たり前だ…)
私が今までやってきた事はこれからもずっと私の心に楔のように残り続けるだろう。だからこそ私はこの体育祭本気で勝ちにいく。そして今までの自分が間違っていたと自分で自分を否定するんだ。
「麗日さんの個性でかっちゃんに対抗する策付け焼き刃だけど…考えて来た!」
そして控え室内では緑谷が今まで麗日に助けられた恩を返すために爆豪に対抗する策を教えようとするが
「ありがとうデクくん…でも、いい」
麗日は優しく断った。
「デクくんは凄い!どんどん凄いとこ見えてくる。騎馬戦の時…仲良い人と組んだ方がやりやすいって思ってたけど、今思えばデクくんに頼ろうとしてたんかもしれない。だから飯田くんが”挑戦する!”って言ってて本当はちょっと恥ずかしくなった。」
そして椅子から立ち上がり控え室の扉にへと歩いてくる。
「だからいい!皆 将来に向けて頑張ってる!そんなら皆ライバルなんだよね…だから、決勝で会おうぜ!」