第16章 16
相澤先生の胸元から顔を上げ慌てて顔を見上げる
「誰も居るわけないだろ、全員中だ」
「け、けど…っん」
言葉を、続けようとするのに頭を固定されキスをされてしまう。驚いて目を思いっきり開けてしまったけど…相澤先生は、気にすることなく舌を絡ませて深い深いキスをしてくる
上手く呼吸が合わなくて苦しくなり相澤先生の肩を押し返すと、固定をしていた頭を解放してくれた。唇を離すと舌先と舌先が繋がるように銀の糸が繋がっていてハァハァと上がる私の呼吸でプツリと切れた
「嘘をつくな…オレを見ろ」
相澤先生は今度は優しく頬を撫で私を見つめたその表情や視線にまた体が熱を持った
“あの特別な日”を私はまた思い出して相澤先生の背中に手を回しグッと力を込めた
相澤先生は髪を撫でながら、私を抱き返してくれて温もりを感じることが出来た。
森の中で力にならず悔しかったこと、守られてばかりだった事、同じ個性の同級生に会って悲しかった事、どれから話すべきか温かくて安心出来る腕の中で考えていた
けれど、相澤先生の顔を見つめると
「どうして、キスをしたんですか?」
こんな言葉しかでて来なかった…
相澤先生は目を細め優しい声色で
「唾をつけただけだ」
そう、私に言ったそれは先程、婚期が遅れている事を気にしていたピクシーボブが言った言葉だった。
その大人の余裕とからかい半分の笑いに私は顔を赤くしてまた、胸元に顔を埋めた
相澤先生は私の事‥どう思ってくれてるのかな?
唾をつけただけって‥‥それは、私の個性に?それとも、私に?
単純な私はその言葉で今までの方が嘘のように思えてしまった