第12章 12 ※轟
コンビニでアイスと冷たいお茶をカゴに入れた。轟くんはそのカゴをサッと私から取り上げて持ってくれた。
お会計は私が呼んでしまったからと払おうとする轟くんを無理やり納得させて私が呼んで支払った。本当は12本入りのアイスを買っていて私が大半を食べるのに払ってもらうのはおかしいと思ったからだったけど…そんな事恥ずかしくて言えなくて最もらしい言い訳をしただけだった。
「俺が持つよ…」
「あ、ありがとう」
また、コンビニの袋を当たり前のように持ってくれて本当にヒーロー科の人はすごいと思った。
「…オレの顔になんか付いてるか?」
「ごめんね、その、荷物を持ってもらって悪いなって考えてたの」
「そんな事か…」
そんな事と言われて少し気になったが轟くんと会話が続かなくて隣に並び歩き家を目指した。
ミンミンとセミが鳴く声が暑さを増してひたいに汗が流れてきた。
突然私の左手が握られて私は轟くんの方を振り向いた
「わりぃ…暑そうだったから少し冷たくしてやろうと思っただけだ」
「ご、ごめんね!急に手を繋がれて驚いちゃって…その、冷たいのは嬉しいから、少しだけお願いします」
「おう」
そう言うと少し、照れ臭そうな顔と寂しげな顔をして手をまた繋いでくれる轟くんの右手から冷たい感覚が私に伝わってきた。
また、前を向いて歩くと今度はその手のお陰でこの暑さも辛くはなかった。
アパートの前に着くとコンシェルジュが居るカウンターの前を通りエレベーターへ乗り込んだ。
私の暮らしている階に止まる。扉の前に立ちオートロックの解除をして部屋に入る
「轟くん、どうぞ」
「お邪魔します」
靴を脱ぎ綺麗に並べる姿を見ると本当に育ちが良いなと関心をする。
リビングに向かい歩きクーラーの電源を入れ、冷凍庫にアイスを入れた。
食器棚からグラスを2つ取り出し氷を入れ買ったばかりのお茶を注ぎ入れる。
コースターとグラスをトレーに移し普段私が食事を取っている机にグラスを置いた。
轟くんにソファーに座ってもらい私は隣のスツールに腰掛けた。
「初めての家に来たのは轟くんかー!」
「初めて?お前、女友達いないのか?」
「そんな…ストレートに言わないでよ」
「わりぃ」
図星なことを言われて俯いてしまう。
轟くんは悪気は本当に無かったのか驚いた顔をしながら謝罪をしてくれた