第11章 11
相澤先生に車に乗せてもらい私の家の方向へと走り出した。
車内には私と相澤先生だけでのそ近い距離と運転する横顔が格好よくて思わず見とれてしまう
赤信号で停止した時に、相澤先生はニヤリと笑い
「そんなに見られたら運転に集中できないが」
「ご、ごめんなさい…普段見慣れない姿でかっこいいと思ってしまって」
「オッサンをからかうと本気にするから止めておけ」
「本心なので…本気にしてもらって大丈夫なんですけど」
そう言うと、相澤先生は私の頬に手を伸ばしてきて慣れた手つきで助手席に居る私にキスをした。その大人な行動に私の体はバクバクと鼓動を早め顔を真っ赤にさせた
「あんまり大人をからかうな」
信号が青に変わり相澤先生はまた前を向くと車を走らせる。
まだ火照った頬に手を当てて
「はい」
と頷く。けれど、その後の車内はどこか気まずくて黙ったまま私の家にたどり着いてしまった。
「着いたぞ…」
「は!はい…あ、相澤先生…そのありがとうございました」
そう言ってシートベルトを外してお辞儀をした。もし、私が大人だったらここで『お礼にお茶でもいかがですか?』とか『家に寄っていきませんか?』なんて言えたかもしれない。
けれど、まだ子供の私にはそんな事は言えなかった。
それでも、相澤先生が喜ぶお礼をしたいそう思って相澤先生の方を見つめる
色々考えてもいい言葉が見つからない
「凛、困った顔をして見つめるな。帰したく無くなる…背伸びしなくていい。さぁ、もう行け…」
相澤先生はやっぱり大人だった。私の浅はかな考えはお見通しだ。
ドアを開きお辞儀をして私は部屋に駆け出した。