第44章 ホークス オリジン
頭が胸にぶつかればギュッと力が入る。
その一瞬の出来事がゆっくりと見えてドキドキしてまた胸が苦しくなった。
腕を回せば触れる部分が増えて体温を感じる。
「(ホークス…ホークスだッ)」
何度も心で名前を呼んでしまう。
「はぁー…かわいかぁ」
その言葉に思わず顔を上げてしまう
ホークスは口を手で押さえて顔を赤くしていた
引き剥がされて、ホークスが扉側を向いてスタスタと歩き始める。振り向かないまま扉を開いて
「…それじゃ、また…インターンで」
予想外の反応にただ立つ事しか出来なくて返事をしないままホークスは出て行ってしまった。
少ししてから慌てて会議室を出て追いかけたけど
キャーと言う黄色い声が廊下から聞こえて
追いかける事をやめた。
今は、この暖かい気持ちだけにしていたかった。
汚い嫉妬でこの気持ちを汚したくなかった。
職員室を後にして廊下を進む
ホークスがいた事で生徒は誰も廊下に居なくて…
静かな空間
「凛」
後ろから声をかけられて足を止めて振り向けば相澤先生が立っていた
「相澤先生?」
「凛…もう、あいつを追いかかるのをやめておけ…」
その言葉に動揺をした
先生は私の事を2人の時は名字ではなくて無くて名前で呼ぶから
「なんで…ですか?」
「もう…お前が傷つく姿を見たくない」
その言葉が心に突き刺さる
傷つく姿を見たくないと言った
けれど、私が最初に傷ついたのは相澤先生の言葉だった。
身勝手な言葉におもわず本音をぶつけてしまう。
「私…林間の時、部屋が分からなくて廊下を引き返したんです。そこで、相澤先生がピクシーボブに“合理的虚偽”って言った言葉を聞きました。…私、相澤先生のこと信じてました。もしかしたら先生の中で私は特別なんじゃないかって…そんなふうに悩んでました。捕まっていた時もしている時も…先生の事ばっかり考えてました…ずっと…けど、私、今は…あれ…私、ホー」
自分で話をしていて気がついてしまった。
相澤先生を好きじゃないと言っていたこの気持ちがホークスの事を思う気持ちと似ていた事を…
けれど、裏切られたと感じて…その言葉で全てをなかった事にしていたのでは無いかと…